外国人組み込みエンジニア(C/C++)を採用!特徴やデメリット、採用手法を解説
2024.06.07
「組み込みエンジニアの中途採用募集をしているが人材獲得できない。」
「外国籍エンジニア採用ってどうなんだろう?」
採用競争が激化している近年、このようなお悩み・疑問を持つ人事担当者の方も多くいらっしゃるはずです。
しかし、外国人組み込みエンジニア採用にあたり、以下のような疑問を持つ方も多いでしょう。
「外国人エンジニアの日本語は問題ないのか」
「実際、どのような外国人組み込みエンジニアがいるのか」
「どのような人材を、どのような年収で探せばよいのか」
そこで本記事では、ITエンジニアをメインに外国籍エンジニアの転職支援をしておりますJOBs Japanの村元が外国人組み込みエンジニアについて解説していきます。
組み込みエンジニアの採用が困難な理由
近年、組み込みエンジニアの採用が困難になっています。
その理由としては、以下の3つが上げられます。
1. IoT普及により組み込みエンジニアの需要が急増
2. 若者のIT業界志向
3. 求められる専門知識と経験の高度化
1. IoT普及により組み込みエンジニアの需要が急増
まずIoT(Internet of Things)の普及に伴い、組み込みエンジニアの需要が急激に増加しています。
IoT市場は年々拡大しており、特に産業用IoTやスマートホームデバイスなど、多くの分野で組み込みシステムの開発が求められているという背景が存在します。
この急速な需要の増加に対して、供給が追いついていない状況が続いており、企業は必要な人材を確保するのに苦労していると見られます。
2. 若者のIT業界志向
若者のキャリア選択において、製造業での組み込みエンジニアよりも、IT業界を志望する傾向が強まっています。
日本の若者は、特にソフトウェア開発やデータサイエンスなど、IT業界でのキャリアに魅力を感じることが多いです 。
これは、IT業界の給与が比較的高く、キャリアパスが明確であることが一因。
一方、組み込みエンジニアは製造業に近いため、若者からの人気が低く、応募者数が少ないという課題があります。
このように若い世代がIT業界志向であり、新しい人材が入ってきにくいことも採用が困難となっている理由の1つと言えるでしょう。
3. 求められる専門知識と経験の高度化
求められる専門知識と経験の高度化していることも、採用が困難になっている理由の1つでしょう。つまり、ニーズにあう人材がどんどん減っていっているのです。
具体的には、ハードウェアとソフトウェアの両方の知識が必要であり、リアルタイムOSや低レベルプログラミング言語(C言語、アセンブリ言語など)のスキルが求められます。
さらに、製造業の特有の業務プロセスや品質管理の知識も必要です。
こうした複雑で多岐にわたるスキルセットを持つ人材は限られており、採用が難しくなっています。
そういった状況で、日本人だけに絞って採用を行っていても理想的な人材が獲得できないのも当然です。
特に貴社にとって理想的な人材は、他社にとっても理想的なもの。そういった人材は転職市場においても多くの魅力的なオファーをもらうはずです。
そのため、大手企業がオファーするような高年収に対抗できる年収を提示できない限り、理想的な人材を採用することは難しいでしょう。
こういった背景を踏まえると、組込みエンジニアを効率的に採用するためには、日本人だけではなく外国人エンジニアを採用することも検討するのが合理的だと言えます。
外国人組み込みエンジニアの特徴
持っている技術・スキル
外国人組み込みエンジニアの場合、以下のようなスキルを持っている人材が多い傾向があります。
・言語:Python, C, C++, C#, Java、VB.netなど
・OS:Linux
・DB:PostgreSQL、MongoDB
例えば以下の方は、IT企業に進まれた方にはなりますが、弊社で転職のサポートをさせていただいたフィリピン出身の組み込み経験のあるエンジニアの方になります。
フィリピンの大学を卒業後、現地で組み込みエンジニアとして、主にC++にて制御ソフトの開発に携わっておりました。
30歳までにプロジェクトリーダーとして活躍をしたいとのことで、ソフトウェアエンジニアとしてのキャリアを希望されシステム受託開発企業へのご入社となりました。
「フィリピン出身エンジニアご採用、日本語N1、C++、400万円オファー」
実際に持っている技術・スキルの参考になるかと存じます。ご経験や来日の経緯もまとめてますのでぜひ確認してみてください。
また、こちらの方は以前転職サポートをさせていただいたナイジェリア出身の方です。
Java(フレームワークはspring)、C/C++を使った開発経験が豊富なエンジニアの方となっております。システム受託開発企業へ進まれました。
以下のご紹介実績記事ではご経験や来日の経緯をまとめておりますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
「ナイジェリア出身エンジニア(C/C++、Java)SIer企業600万円オファー」
工夫すれば日本語力が高い人材を獲得できる
外国人を採用する時に最も気になるのが「日本語スキル」でしょう。
結論、工夫すれば日本語力が高い人材を採用することが十分可能です。
前提として、日本で就職を選ぶ外国人エンジニアの日本語力は基本的には高い傾向があります。ただ、やはり一人ひとりの日本語力には個人差がありますので、何も工夫せずに日本語力が高い方を採用することは困難。
「追加で日本語研修を行う」「日本語力が高い人に絞って紹介する人材紹介サービスを利用する」などの工夫が必要になるでしょう。
実際に弊社でも、日常的な場面で使われる日本語が理解できるJLPT2(N2)の資格を有する方をご紹介しています。そのため基本的に日本語の心配はありません。
ご希望であれば、実際に配属される現場に応じて日本語研修を行うことも可能です。
なお、社内的に英語によるコミュニケーションが可能な環境の場合、日本語レベルをN3レベル〜N4レベルまで日本語要件を下げるとより応募を集めやすくなります。
希望年収は400~600万円
経験や日本語レベル、日本企業での就労有無にもよりますが、希望年収は、400万円~600万円のイメージです。
ただ前提として経験や日本語レベル、日本企業での就労有無によって年収は変化します。
年齢・キャリアパターンは主に2つ
年齢、およびそれまで積んできたキャリア経験のパターンは主に以下の2通りになる傾向があります。
1、母国で理系の大学を卒業後、母国の企業で組み込みエンジニアとして就労。その後、来日し日本語学校に約1~2年通学。その後日本で初めてエンジニアとしての就職活動を行う。
2、日本で既に組み込みエンジニアとして就労中。技術者派遣企業などが多い傾向。その後、メーカーへ転職するために転職活動をしている方。
組み込み開発の経験のある外国人エンジニアを採用する場合は、1もしくは2の流れに。
上記のパターンを経ている年代となるため、若い方で20代後半、その他30代の方が多くなっています。
国籍:英語圏出身者が多い
C言語などを使用する組み込みエンジニアの場合、英語圏出身者がメインになります。
というのは、組み込みエンジニアとしてのスキルはITスキル寄りであり、ものづくりエンジニアというよりITエンジニアになるためです。
製造現場で働く外国籍は、ベトナムや中国が多くなってはいますが…。
組み込みソフト開発経験のある人材は、ベトナム、中国は多くありません。
むしろフィリピンなどの東南アジアの英語圏が有力です。
そのため、採用手法としては、英語圏人材が多いLinkedInを検討することも考えましょう。
外国人組み込みエンジニアを採用するメリット・デメリット
メリット:日本人では採用できない層が獲得できる
外国人組み込みエンジニアを採用することで、日本人では確保が難しい特定のスキルや経験を持つ人材を獲得することができます。
特に、製造業の経験を持つ組み込みエンジニアは貴重な存在です。
組み込みエンジニア全体が不足している中で、経験を持つ人材は特に需要が高く、日本人だけでは必要な人数を確保するのが難しい状況です。
したがって、採用の範囲を外国人に広げることで、こうした貴重なスキルを持つエンジニアを効率的に採用することが可能となります。
デメリット:採用・教育に手間がかかる
外国人エンジニアを採用する際には、在留資格の確認や申請といった手続きが必要です。また、採用後に日本語教育を行うことも重要です。
たとえ日本語能力試験で高得点を取っていても、専門用語や業界特有の言葉を理解しているとは限りません。
日本語能力がN2以上であっても、開発現場で使用される専門用語については入社後も継続的な学習が必要です。
外国人エンジニアを採用する方法
外国人エンジニアを採用する方法はさまざま。
ここで特に有効な手法を紹介していきます。
採用手法 | 費用 | 手間 | サポート |
人材紹介 | やや高い | 少ない | あり |
Web求人サイト | 普通 | 普通 | なし |
自社サイト | 安い | 多い | なし |
SNS | 安い | 普通 | なし |
知人からの紹介 | 安い | 普通 | なし |
1. 人材紹介サービス|手間をかけず狙い通りの人材を獲得可能
日本国内在住で、日本語レベルがN2以上であり、日本企業での組込みエンジニアとしての就労経験を持つ人材を採用したい場合は、人材紹介サービスの活用が最も費用対効果が良いと思います。
人材紹介サービスは、一般的には採用時のオファー年収の35%程度のエージェント手数料が必要になりますので一見すると高く感じてしまいます。
しかし、採用が確実性が低い求人媒体・求人サイトへの投資や、稼働する人事担当の選考にかかる工数・人件費を考えると、むしろ人材紹介サービスの方がスピード感・コスト面においてコスパが良いというケースが多くあります。
というのは、人材紹介サービスの場合、紹介会社の採用ポジション要件の解像度の高さにもよりますが、「ピンポイントで欲しい人材を連れてきてくれる」「採用が決定するまでコストが一切かからない」などの特徴があるためです。
そのため、即戦力外国籍エンジニアを採用されている企業は、他集客チャネルと並行し人材紹介サービスを使っています。
2. Web求人サイト|外国人採用ではフィットしない
エンジニア採用時にはGreenやDoda、Wantedlyでの募集が一般的になっており、近年のエンジニア売り手市場という背景において、掲載求人数は増加の一方です。
採用競合である大量の求人があるなかで、欲しい人材から自社にエントリーしてもらう確率は相対的に下がります。
また、今回のような外国人エンジニアを採用するとなると、ニッチであることから集客チャネルとしてはフィットしないため、日本で有名な求人媒体はおそらく効果の見込みが薄いと思います。
当社にお問い合わせされる企業様も、「Dodaに出しても欲しい人材からの応募がなかなかこない」というケースが多いことからも母集団形成に課題を持たれているんだろうと推測します。
3. 自社サイト
自社のウェブサイトに採用情報を掲載することで、企業の魅力を直接アピールできます。特に、外国人採用に積極的であることをアピールすること、英語でのサイト作りにより、外国人エンジニアの関心を引くことができるでしょう。
4. LinkedInなどのSNS|手間はかかるがコスパが良い
LinkedInなどのSNS、プラットフォームを活用することも可能です。
ただ、日本語能力が不足している人材も多いため、自社でダイレクトリクルーティングを行う場合は、経験や日本語レベルの見極めに多くのリソース・工数がかかってしまうことは避けられません。
一方で、複数名から成る磐石な中途採用チームが社内にある場合は、Linkedinでの採用ノウハウを社内に蓄積可能であるため、SNSアカウントを育て人材を集客できる状態にしていくための時間はかかりますが、長い目で見ると採用単価を抑えられるので、検討しても良い方法だと思います。
LinkedInは外国人エンジニアの採用に最適!手順やコツを解説
5. 知人や外国人社員からの紹介(リファラル採用)
実際に、当社でも外国人社員を採用するときに活用しているのですが、既存の従業員を通じたリファラル採用で、信頼できる外国人エンジニアを採用することもできます。
社内向けにリファラル制度を周知しておくことがポイントになります。
オススメなのは人材紹介サービスとLinkedIn
上記で説明した手法のうち、オススメなのは人材紹介サービスとLinkedInです。
人材紹介サービスは「手間をかけず望む人材が手に入る」「ビザなどの面倒な手続きも代行してくれる」などのメリットがあります。
紹介料が発生するものの、採用にかかる手間や人件費を考慮すると、最初から人材紹介サービスを使用したほうが良い、というケースも多いです。
LinkedInは、低コストで採用するならオススメです。
ただ、「アカウントを育てる必要がある」「運用の手間がかかる」などのデメリットもあるため、もしそこまでのリソースがないのであれば、人材紹介サービスを検討してみましょう。
組み込みエンジニアの採用にお困りの方は、ぜひご相談くださいませ。